いやなことがあった。
わたしはそれを忘れようとする。
ぐしゃぐしゃにしてごみ箱に押し込めて、はじめからなかったことにしようとする。
優しいあなたはわたしを慰めようとして、ごみ箱からそれを引きずり出す。
わたしの目の前に突きつけて、こんなものなくなってしまえばいいのにね、と嗤う。
そんな時、わたしは「わたし」を押し殺す。
そして「わたし」はわたしからまた一歩遠ざかる。