日記

バイト上がりで街へ買い物。
といってもスーパーへ買い出しに行っただけなのだけれどもお目当ての食材を無事購入しさあ帰ろうと原付を停めた地点へと歩を進めていたところ雑踏の密度が増していき祝日とはいえこの人垣は何だと訝っていたところ年の瀬も押し迫ったこの時期に葉もとうに散り切った街路樹に電線を絡めて電球を灯すという催しが開かれておりその点灯の瞬間を目に焼きつけるべく妙齢の男女やら家族連れやら棺桶に片足突っ込んだようなのが雲霞の如く集っており人間にも走光性があるのだなと思った。


話は前後し買い物の前に通りを歩いていたらアンプやスピーカーを通した声とギターとベースとドラムの音が聞こえて来たので誘われるように公園へ行ってみると果たしてそこには女子二名男子一名によって構成されるバンドがステージ上で寒空の下でジェットヒーターを袖に従え見たところ平均年齢の高い観衆の中で演奏しており技術的には高校の文化祭の結構上手いやつらというレベルで未熟な感は否めないものの詞や曲は足を止めて傾聴するに値するように思われ曲間にギターとボーカルを兼ねた女子が述べたところによると彼女達は岩手県宮古市在住でありこれは私の故郷に程近いために親近感を覚えまた彼女は齢十七とのことでその若さにして歌唱力や表現力が高くこれは将来期待できそうだこの後CD販売でもしようものなら一枚購入するのも吝かではないぞと考えていたらこれからレコーディングに入りいずれCDを売りに再度この地を訪れることあろうかと思うがその際はよろしくという旨の発言があり成る程それならばその時まで貴方たちの名前は記憶に留めておこうと。