為し

中島らも氏のエッセイに、こんな話が載っていた。
市販の納豆は一食の分量としてはやや多すぎるのでまず最初に納豆だけを半分食べる。
それから残りの半分をご飯にかけて食べる。
この時、先に食べた分は初めから「なかったこと」にしてしまうのだという。
この考え方は日常生活を営む上でなかなかに有用である。
僕はバイトを掛け持ちしており、朝のバイトの後で小一時間仮眠を取るのだが
この仮眠から目覚めてからが一日のはじまりだと思うことにしている。
実際はその四時間前に起きて二時間の労働に従事したのだけれども
それは「なかったこと」にするわけだ。
休憩を挟んでの十時間労働と考えるか、単に八時間労働と見るかの違いがここに生じる。
適応の一つとも言えるのかもしれない。
疲労は精神面に拠るものが大きいため、考え方一つである程度は緩和できるのだろう。
とはいえ問題もないわけではなく、はじめから「なかったこと」にしているため、
休日の有り難みを堪能しきれないのが難点ではある。
木更津キャッツアイ 第2巻 [DVD]