どっちを選べど

蜥蜴の通った跡には草も生えない。
数々の衝撃と記録的な数字を前に暫し現実感を喪失してしまう。


谷崎潤一郎「猫と庄造と二人のおんな」読了。
犬は飼い主の家族の格付けをするというが猫はそんなことはしないのだろう。
気高く、狡猾に、強かに生きていく。
そんな猫に振り回される三人の人間。
人間は何かに隷属することで安気を得る。
対人関係は多種多様の要因に左右され安定しない。
機嫌を損ねないようにしておけば関係がさほど変化しない猫は格好の隷属の対象となる。
浅い人間関係、そして情愛を注ぐ対象は人間以外。
先見の明、とは言い過ぎかな。
ちなみに私は猫と暮らしたことはございません。猫と庄造と二人のおんな (新潮文庫)