海と夜と老人と少年

久し振りに辻仁成を読んだ。
「母なる凪と父なる時化」。最近は恋愛小説のイメージが強い作家だが、
社会にうまく馴染めない青少年を主人公に置いた青春小説はやはり秀逸。
「ピアニシモ」同様、主人公と同世代のうちに読んでおきたい作品である。
辻作品に限らず、所謂青春小説と呼ばれる小説は舞台が夏から初秋に設定されているものが多い。
夏の終わりと共に少年は一歩大人に近づいていく。
そしてその夏は決して忘れることの出来ない夏。
青春なのに夏。
母なる凪と父なる時化 (新潮文庫)